2010.03.13 Saturday
「マイケル・ジャクソンの稼ぎ」について 森田雄三
僕が演劇を志して劇団に入った頃は、テレビが普及し出した興隆期。まだビデオテープという機材がなく、テレビ局で作るドラマはすべて生中継だった。ドキメンタリーや野外ロケが必要なドラマは、映画のようにフイルムで撮影されていた。 当時の映画業界はテレビを「電気紙芝居」と蔑んで、俳優をテレビに出す事を嫌っていた。 だから重用されたのが、舞台俳優だ。「新劇の俳優」が、猫も杓子もテレビドラマに出るようになり、昨日まで食うや食わずだった俳優が、一夜にして金持ちとなったのです。 僕が入った「劇団雲」に所属する50人ばかりの俳優の半分以上の方が、田舎出の僕でも、テレビドラマで見知っている人だった。その中の十人ぐらいは、街中でサインを求められるような有名俳優だったのです。 NHKの「朝ドラ」の主役の女の子は、新劇の劇団の持ち回りらしく、毎年、新人のスター女優が生まれたものだ。僕も劇団に入った年から「朝ドラ」を始め、いくつかの連続テレビに出ていた。
新劇は左翼思想で、社会改革を目指した集団であったのに、スタートなった俳優は、広い敷地の豪邸を持ち、中に自家用のプールがあると噂されるまでになった。超ミニのマイケル・ジャクソンといえなくもない。 ビデオテープの普及や、見目麗しい人がテレビに重用されるようになると、新劇の俳優は見る影もなくなった。モデルや運動選手が、俳優としてテレビに出るようになったのは、皆さんご存じでしょう。 ビートルズがレコードによる世界制覇ならば、マイケル・ジャクソンは映像つきの歌、プロモーションビデオの申し子だと思う。 マイケル・ジャクソン以前の歌手は「歌が主」だったのに対して、「踊り」が主張するようになったとでもいうのかな。歌い手の周りを、ダンサーが踊るという古い歌手のスタイルを壊したんじゃなかろうか。 ビートルズが、歌だけではなく、ファッションも思想も変えたけど、歌がメインだったのです。 メッセージは言葉によるものだったといえる。様々な形で、大真面目に「ラブ&ピース」をアピールしていた。「平和と愛」が時代の要求だったのです。 ビートルズ全盛の時代と、核兵器の恐怖の時代は重なります。核兵器から家族を守る、核シェルターが売れた頃もあったのですよ。 そしてジョン・レノンは、テロという暴力で殺されてしまう。 マイケル・ジャクソンのメッセージは「肉体」にあるよね。僕には「肉体改造」とか「宇宙」のイメージがあるから、ドロップアウトして肉体労働に従事する若者につながる気がする。 ベルトコンベアーの工場で働いていた若者が、無農薬野菜を作るような、人工的な肉体酷使のイメージが、僕の中にある。都会で傷ついた心や体を(マイケルの場合は芸能界だろうが)、抱えたままリセットしているのが「希望」というのかな。放射能を浴びた後の人間の姿。 さまざまなメタファー(隠喩)を含んだ人だと思う。 マイケル・ジャクソンの稼いだ金って、子供の頃に遊んだ銀行ゲームの「玩具のお札」のような気がしませんか。質問者が「稼ぎ」を、マイケル・ジャクソンの問いにしたのは、一つの本質だと、僕は思います。
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1946年・・・石川県白山市に生まれる。
2006年・・・兵庫県高砂市の教師とワークショップで芝居を作る。
スイス国立演劇学校(HMT)の教授となる。
ワークショップに関する本が何冊も出版される。
ワークショップに参加した人達、通称:「森田雄三チルドレン」が、ソーシャルネットワーキングサイト「mixi」(ミクシィ)でも多数存在し、ワークショップでの出来事・森田が話した内容「雄三トーク集」なるコメントがされている。
イッセー尾形の演出家。















